事実は小説よりも奇なり。実話を元にした映画は、心を揺さぶります。今回はアメリカの南北戦争が舞台で、黒人の奴隷解放をしたことで賞賛される「リンカーン」の実話を元にした映画のあらすじやネタバレ情報、映画の感想を紹介していきます。
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実話映画「リンカーン」あらすじ
1985年1月、奴隷制度の維持を求める南部と黒人解放を実現した自由な北部が対立する南北戦争は、激しさを増していました。
リンカーンは大統領に再選されて2か月、南北戦争は南部にいる300万人の奴隷の運命を決める戦いのことから、戦争と共に奴隷制度を終わらせなければならないことを、自らの使命と考えていました。そのために、憲法第13条の修正案を可決させることを決意します。
しかし戦争は北部の勝利で終結が目前なことと、既に2年前に「奴隷解放宣言」をリンカーンがしていることから、周囲は戦争を終結させることには賛成でも、憲法の修正案可決にはあまりいい顔をしません。
しかしリンカーンは、全ての人間の自由を実現させるために、共和党の保守派の重鎮を味方につけたり、民主党の議員に駆け引きして、賛成票を集めていきます。
「人民の、人民による、人民のための」政治を目指したリンカーンの、真の平等を求めた戦いの記録です。
この実話映画「リンカーン」見どころとネタバレ情報
歴史的に偉大とされるリンカーンと黒人差別
南北戦争は既に4年に及び、おびただしい数の犠牲者を出しながらも、未だ収束しないでいました。リンカーン大統領は、気さくな人柄で、戦場に赴き黒人兵士達の話しにも真摯に耳を傾け、冗談を言い合ったりします。しかし時は19世紀半ば、依然黒人差別は続いており、自由な北部軍でも黒人の将校はおらず、給料も白人よりも少し安いのが現実です。
南部では奴隷解放宣言をした後も、事実上綿花農場などで黒人が奴隷として働いており、憲法を修正しないことには、完全に奴隷制度を廃止することはできないと、リンカーンは考えます。
憲法修正案を可決するためには、可決できるだけの票を集めなければなりません。共和党の保守派議員や急進派の議員に協力を求めるだけでなく、足りない票は、民主党から得るために策を講じます。リンカーンの考えに賛成の国務長官のウイリアム・スワードは、無職の民主党議員に職を与えて、見返りに賛成票をもらうように働きかけます。
南部からは、和平交渉の使節団が訪れようとしていましたが、使節団が訪れれば、奴隷制度廃止に言及することが難しくなると思い、リンカーンは終戦よりも先に、修正案の可決に奔走することを決めます。
途中何度も味方の中で分裂の危機が訪れますが、全てはリンカーンの奴隷制度廃止の熱意の元、憲法修正に向けて進んでいきます。
採決の朝、傍聴席に黒人が入ってきて自らの未来を見守ります。
結果、賛成119票、反対56票、棄権8票で修正案は可決され、歴史が変わる鐘が鳴り響く中、人々は歓喜します。
後日、リンカーンは南部の使節団と会い、奴隷制度廃止が可決されたことを知って降伏を渋る南部の副大統領に、「血と犠牲で証明されるものは証明された。無駄な血を流すのはもうやめよう」と伝え、降伏を求めます。
憲法改正にこぎつけたリンカーンに待ち受けた凶弾
4月15日、妻と観劇中のリンカーンが銃で撃たれたと、劇場中に知らせが入ります。
大勢の人達に見守られながら、アメリカの全ての人々の自由と尊厳を求めた偉大な指導者は、静かにこの世を去ります。
南北戦争の北部が勝利をして黒人の奴隷解放が実現したことで、黒人の人種差別は収束するかと思いきや、実際には南部で黒人の差別は潜在的に残っていました。奴隷こそいなくなったものの、実際に差別的状況が改善されるのは1950年代の公民権運動まで引きずるkとになります。
実話映画「リンカーン」の感想
南北戦争を終結させ、奴隷制度を廃止したリンカーンの実話ですが、実際は困難の連続で、大変な偉業であったことがこの映画から伺い知れます。
大統領に再選して僅か数か月で憲法修正を可決したリンカーンは、ともすれば味方にも見放されそうな局面が何度もあったにも関わらず、不屈の信念で奴隷制度廃止を実現していきます。現在いる300万人の奴隷だけではなく、この先未来に生まれてくる全ての奴隷の自由と尊厳を手に入れるために戦いは、正に歴史を覆す一大事です。
これだけの偉業を成し遂げた大統領なのに、妻や子どもに優しく、黒人兵士や様々な人々と気さくに冗談を交わせる親しみやすい人柄は、史上最も愛された大統領と言われる所以でしょう。
目先の利益や、些細なことに囚われず、とにかくスケールが大きくて、全ての人が幸せに暮らせる未来をしっかり見据えた、素晴らしいリーダーの感動の物語です。
